game boy sound comparison http://www.herbertweixelbaum.com/comparison.htm を適当に日本語訳 by @lucidonn ※whistling sound / whistling noiseについて 適訳が見当たらなかったので【口笛ノイズ】と訳しました。 高音域で『ピーッ』と鳴るノイズを指すようです。 実際にサンプルを試聴して確認してみてください。 +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+ GameBoyの音質比較 全てのゲームボーイは音量最大で再生した。ゲームボーイは直接オーディオインターフェースmotu 2408(http://www.motu.com/products/pciaudio/2408)に接続している。0.1dBにノーマライズした以外の調整は行っていない。 また各ゲームボーイの音量差についての比較はしていない。ゲームボーイの出力を録音したら、ほとんどの人はノーマライズをしてからマスタリング作業を行うだろう。ライブのような状況では、ゲームボーイの音量が不足している場合は単純にミキサーかアンプの音量を上げるだろう。 もし音量による違いに興味があるならば、私が過去に行った音質比較を参照して欲しい。 実験にはLSDj3.5.1をカートリッジに書き込んで使用している(注記が無い限り)。mp3はlame3.96.1/192kbitでエンコードした。 試聴サンプルは以下のような構成になっている。 ・ゲームボーイのバックグラウンドノイズ(何も再生していない状態)。 ・曲の再生を開始 ・途中に休符の区間(ブレイク)があり、そこでは音符をおかずにパンのみを振っている。これにより旧型機種ではリズミカルなパルス音が発生する。新しいモデルではこの現象は発生しない。 ・曲終了(バックグラウンドノイズのみになる)。 ・ゲームボーイライトでは、バックライトを切った状態と点灯させた状態で2つサンプルを用意した。 機種によって違った音で聴こえるだけでなく、波形をよく見てみるとすでに形がかなり違うことが分かる(薄い音では薄い波形)。 録音したのは矩形波で、 Envelope: A8 波形: 50% 音階: C3(音楽用語でいうところの"Great C") オーディオ編集ソフトに表示された波形を画像ファイルとして保存した。 ■GameBoy (classic, original, dmg-01, grey, brick, keksdose) 初代ゲームボーイ。1989年に発売された。 暖かく、低音の効いた音が特徴で、他の機種に比べてバックグラウンドノイズが小さい(ヒスノイズと、若干のハムノイズ)。 CPUが若干遅いため、曲によってはその違いが分かりやすい。実際、古いバージョンのLSDjでは曲が複雑すぎると(特にTABLEを多用した場合)ゲームボーイがクラッシュすることさえある。最近のバージョンのLSDjは最適化が進んでおりクラッシュしてしまうところまではいかないが、やはり幾つかのケースでは判別できるほどの再生遅れが生ずることもある。 画面は見やすいとは言えず、特に周囲が暗いと見にくい。 波形はどちらかというと四角形に近い。 この初代を基準とし、他の機種と比較する。 良い点:音質、レトロ感 悪い点:画面、遅いCPU ■GameBoy(ProSound化) ProSound化の改造はよくGBCに適用されているが、ここでは初代機にも行ってみた。これにより本体からの音量は13dB程度増幅される。 曲が再生されていない状態ではノイズが乗らない。 再生が始まると、ハムノイズが乗る(無改造版ではヒスノイズによって隠れて聴こえにくかった音)。再生を止めるとハムも消える。 波形は無改造のものと比べると若干異なって見える(より四角形ぽさが失われている)。 ノーマライズ処理によってピークレベルは-0.1dBまで増幅されているが、全帯域での音量としては無改造のものに比べ平均で2dBほど小さくなっている。 他の機種の内部が部品で窮屈なのに対して、初代GameBoyは追加のケーブルを入れる空間的余裕がある。細いシールド線を使う事も可能である。 無改造版ではヒスノイズが、ProSound化版ではハムノイズがより聞こえやすい。どちらがよいかは好みによる。 良い点:同上 悪い点:同上 ■Play it Loud!(非公式の呼称) Play it Loud!は任天堂の販売キャンペーンで使用されたスローガン。様々なカラーバリエーションがある第二世代のGameBoyを指す。公式にはただGameBoyと呼ばれ、(任天堂によれば)仕様も初代と同一であるとのこと。音質も初代とほとんど変わらない(わずかに高音に口笛ノイズが乗っているように聴こえることもある)。 良い点:同上 悪い点:同上 ■GameBoyPocket 銀色の外装で、電源ランプのLEDがないバージョンである。 後期機種ではLEDが復活し、様々な配色で発売された。 音質は「薄い」。ヒスノイズと、高音域に口笛ノイズがのり、 再生を開始するとハムノイズも乗る。再生を停止するとハムノイズは消える。 初代と比べると波形はかなり異なっており、若干けばだっているように見える。 良い点:挙げるまでもない感じ 悪い点: ■GameBoyPocket(ProSound化) 主にGBCに行われるProSound化をPocketにも行ってみた。 波形は若干変化したように見えるが、音質面での改善はほとんど見られなかったと言っていいだろう。 ヒスノイズは低減したが、高音の口笛ノイズと、再生時のハムノイズはそのままであった。 良い点: 悪い点:改造する価値があまりないかも ■GameBoyLight Pocketのような概観だが、単四電池の代わりに単三電池になっている。 バックライト付きで、暗い環境でも画面が見やすい(ステージ上などでも)。 音は薄く、ハムノイズと高音のノイズが乗っている。 バックライトを点灯させると更に高音の口笛ノイズが入る。 音楽の再生を開始すると、更にノイズが顕著になる。 再生を終了すると、口笛ノイズも消える。 波形はPocketとほぼ同一の形状だが、若干けばだってみえる。 良い点:画面 悪い点:音質 ■GameBoyColor 薄い音で、バックグラウンドノイズが大きい。高音域のノイズとハムノイズがあり、 再生を開始するとより顕著になる。再生を停止すると、ノイズは若干抑えられる。 初代と比べると波形はかなり異なっており、またかなりけばだって見える。 良い点:なし 悪い点:音質 ■GameBoyColor(ProSound化) この改造により出力を大きく、より綺麗にすることができる。音は低音が強くなるが、 初代GameBoyには至らない。再生を開始する前のProSound化GBCはとても静かである。 再生を開始すると、高音の口笛ノイズと若干のハムノイズが乗るが、 無改造GBCよりは幾分改善されている。再生を止めるとノイズは消える。 波形も無改造時のものよりは綺麗で安定しているが、初代の波形には遠く及ばない。 良い点:音質(ノイズは明らかに聴こえるレベルだが) 悪い点:望まれるほどの音質ではない ■GameBoyAdvance 音質は低音が強く、少々バックグラウンドノイズが乗る。 GBA以降の機種では、パンを左右に振ることで発生するノイズはなくなる。 またLSDjのサンプリング波形を再生すると、音階のようなノイズが乗る。 これは古いバージョンのLSDjでは顕著である。 最近のLSDjではサンプリング波形を使用する際の最適化も進み、ノイズはある程度低減されている。 音楽の再生を停止した際には、明らかなプチノイズが乗る。 またGBAは扱いにくいボタン配置になっており、SELECT/STARTボタンが十字キーのはるか下に位置している。 波形は初代に近く、また割と綺麗である。 (注:GBA、GBASP、GBASP2の写真については、GBAカートリッジを刺した状態のものである。これは単純に見た目の問題でそうしている。録音の際には書き込み可能カートリッジを使用している。) 良い点:音質(ただし幾つかの可能性が失われている。またサンプリング波形の再生に問題あり) 悪い点:ボタン配置 ■GameBoyAdvance SP ライト付きディスプレイ(画面下から照らす)なので、周囲が暗いときに画面が見やすい。充電電池で動作する。音質は低音が出ているが、バックグラウンドノイズも大きい(高域口笛ノイズとヒスノイズ)。ライトの消灯/点灯は音質に影響しない。GBAと同じサンプリング波形の問題を抱えている。再生停止時にもGBAと同じくプチノイズが入る。またGBASPの出力をPCやミキサー、アンプ、ヘッドホン等に接続するにはヘッドホン用アダプタが必要である。ヘッドホン用アダプタは外部ポート2つを使用し、そのうち一つは充電用のポートでもある(SP以降の機種は全て充電電池で動作する)。よって充電しながらヘッドホンを使う事ができなくなる(サードパーティ製アダプタを利用すれば両者を同時に行うこともできる)。 波形はGBAとよく似ているが、よりノイズが大きい。 注記:SPはGBAカートリッジとgoombaバージョンのLSDjを使用すると、異なるノイズが乗る(これはnanoloopでも同様で、1.2のカートリッジではより大きなヒスノイズが、2.0カートリッジではハムノイズが乗る)。またgoombaバージョンは若干再生が遅いため、同じテンポで再生した際には若干再生時間が長くなる。 良い点:画面 悪い点:音質 ■GameBoyAdvance SP2 (SP lite, SP mkII) これらは非公式な呼称である。任天堂が「更に明るいバックライト画面で」と宣伝した機種で、公式にはただのGBASPと呼ばれる。 画面が旧GBASPよりも明るく、その差はバックライトにある。ライトは2段階の明るさ設定があるが、オフにすることはできない。 低音が出るが、バックグラウンドノイズが大きい(ハム、ヒス)。 明るさの設定を変更する際に、明らにプチノイズが乗る。しかしそれ以外では音質への影響はない。 GBAとGBASPと同様にサンプリング波形のノイズ問題を抱えており、また再生停止時のプチノイズも健在である。 ++ 以下のNintendoDS、DSLite、GameBoyMicroでの実験は、完全性を求めるために一覧に含めた。 これらの機種では旧式のカートリッジを使用することができないため、LSDjとgoomba(GameBoyエミュレータ)をGBAカートリッジに転送して録音を行った。これにより一対一の比較が不可能となってしまっている。またgoombaバージョンは若干再生が遅いようである。 flash2advance GBAカートリッジとLSDj 3.5.1を使用した。 これらの機種ではサンプリング波形の鳴りがかなり酷い。これは機種の問題ではなく、おそらくGameBoyのプログラムをAdvanceのプログラムとして実行していることに起因していると思われる。 ++ Nintendo DS 厳密に言えばNintendoDSはGameBoyではないが、GBAのカートリッジを使用する事もできるのでこのテストに含めている。バックライトはオン/オフすることができる。この設定を変更するためにはDSを再起動する必要がある。 ヘッドホン出力が使用できるが、外部拡張コネクタ(5.2V入力)とヘッドホンアダプタも利用できる(GBASPと同様)。両者を同時に使うことも可能である。 ハムノイズがあり、再生時には若干大きくなる。 バックライトの状態や、ヘッドホンと外部コネクタのどちらを使用するかは音質には影響しない。 タッチスクリーンとタッチペンはGBAソフトでは全く使用しない。 とても扱いづらいボタン配置で、SELECT/STARTボタンがA/B(とX/Y)ボタンの上にある。 波形はどちらかというと矩形波にかなり近い。 良い点:画面 悪い点:ボタン配置 Nintendo DS Lite 音質は低音が強く、バックグラウンドノイズは非常に小さい。 画面の明るさは数段階で設定できるが、変更するには再起動が必要である。 flash2advanceのカートリッジは本体からはみ出る。 タッチスクリーンとタッチペンはGBAソフトでは全く使用しない。 扱いづらいボタン配置で、SELECT/STARTボタンが右側にある。 波形はDSと同じように見える。 良い点:音質・画面 悪い点:ボタン配置 GameBoyMicro GameBoyMicroはこれまでの所もっとも新しくGameBoyファミリーに加わった機種である。 とても明るいバックライト画面があり、暗い環境でも見やすい(画面が小さいが)。 画面の明るさと音量は数段階で調整できるが、ビープ音が鳴るので音楽再生前に全てを調整しておくこと。 それ以外では明るさは音質には影響しない。 音質は低音が出ているが、ハムノイズと若干高音のノイズが乗る。 音楽の再生を停止するとプチノイズが乗り、ハムノイズのピッチが上がる。 GameBoyMicro全体の小ささや、SELECT/STARTの位置、 イヤホンジャックの配置などにより扱いが少々難しい。ただしこれは慣れの問題だと思われる。 全GameBoyの中で、波形は最も矩形波に近い。 良い点:画面 悪い点:音質・操作性 最後に: 『レトロ感』のようなものが貴方にとって重要であるかどうかは分からないが、 初代GameBoy(もしくは初代ProSound化)が最も良い音質であり、 GBASP2が最高のディスプレイを持つ機種であるという事はかなり客観的な判断であると言えるだろう。 もしNanoloop2.0のようなGBAプログラムを使用したいのであれば、NintendoDSLiteが最高の音質と画面であろう。 バックグラウンドノイズについての注記: いくつかの例で示した通り、GameBoyの機種によっては明らかに聴こえるバックグラウンドノイズでも曲の再生を開始するとノイズ曲に隠れてしまい聞こえなくなってしまう事もある。 しかし、曲によっては静かなパートや休符の時にはノイズは目立ったりうるさく感じることもあることを心に留めておくべきである。 私がテストできるのは個人的に所有していたり、人から簡単に借りることができる機種についてだけであるが、どうやら同じ機種の全個体が同じ量のバックグラウンドノイズを発生するわけではないようであるようである。 なので、もし曲を制作するのに良いGameBoyを購入したければ、カートリッジと電池とヘッドホン(GBASPならヘッドホンアダプタも)を使用して事前に音質を確認するのはよい判断だと言えよう。 古いGameBoyを購入する際のその他の注意点としては(明らかな傷や壊れたスクリーンカバー、電池の蓋がない、などは除くとして)、ピクセル欠け、電池の接触端子の腐食、頻繁にクラッシュする、ボタンが効かない、などを確認することだろう。